「AIにゲームを作らせてみたい」 そう思ったことはありませんか?
今回は、「1つのHTMLファイルだけで動く、ポケモン風バトルゲームを作って」という同一のプロンプトを、最新・未公開を含む5つの生成AIに投げかけ、そのコーディング能力とセンスを徹底比較しました。
エントリーしたのは、Composer1、Gemini 3 Pro、GPT-5.1 Codex、Grok Code、Sonnet 4.5の5モデル。
驚きの結果となった「AIプログラミング対決」の模様を、実際のコード品質と完成度から紐解きます。
検証のルール(プロンプト内容)
公平を期すため、以下の条件を厳守させました。
- 要件: ターン制のモンスターバトル(1vs1)
- 技術: 外部ライブラリ禁止。HTML/CSS/JSを1ファイルにまとめること。
- 制約: ポケモン等の版権キャラは使用禁止(完全オリジナル)。
- UI: HPバー、ログ、コマンドボタン(攻撃・スキル・防御・回復)を実装。
Gemini 3 Pro:演出と「ゲームらしさ」の覇者

まず驚かされたのが Gemini 3 Pro です。他のモデルが「文字」や「四角形」でモンスターを表現する中、GeminiはCSSのグラデーション(radial-gradient)を駆使して、コードだけで「モンスターのスプライト画像」を描画してきました。
- ここが凄い:
- CSS描画: 画像ファイルを使わず、CSSだけで青と赤のモンスター(球体)を表現。
- アニメーション: 攻撃時の「突進(scale)」や、被弾時の「振動(shake)」アニメーションが実装されており、爽快感がある。
- UX: 敵のターンに「1.5秒のウェイト」があり、戦闘のリズムが良い。
判定: ユーザー体験(UX)への配慮が圧倒的。「ゲームとして遊べるもの」を理解している印象です。
GPT-5.1 Codex:プロ顔負けのモダンUIデザイン

GPT-5.1 Codex の出力結果は、まるでモダンなWebアプリのようなダークモードUIでした。
- ここが凄い:
- デザイン:
radial-gradientを背景に使い、サイバーパンク風の配色(濃紺×ネオンブルー)で統一。最も「見た目」が美しい。 - コード品質: JavaScriptの設計が堅牢。
data-action属性を使ってイベントリスナーを共通化するなど、保守性の高いコード。 - 機能: ログが自動スクロールし、常に最新の戦況が見えるよう調整されている。
- デザイン:
判定: デザインセンスとコードの堅牢性はNo.1。このままポートフォリオとして出せるレベルです。
Sonnet 4.5:アイデア勝利!「絵文字」の活用

Sonnet 4.5 は、非常に賢いアプローチを取りました。画像が使えない制約の中で、「絵文字(🔥と👹)」をモンスターとして配置したのです。
- ここが凄い:
- 発想力: コードで絵を描くのではなく、ユニバーサルな「絵文字」を使うことで、軽量かつ視認性の高い画面を構築。
- アニメーション: ふわふわと浮遊する(
float)アニメーションを実装し、生き物らしさを表現。 - バランス: 「必殺技は1.5倍ダメージ」など、数値バランス調整も適切。
判定: 制約に対する「解決策(ソリューション)」の提案力が光りました。実務でも頼りになるタイプです。
Composer1:手堅い優等生

Composer1 は、非常に安定的でバグのないコードを出力しました。
- 特徴:
- 綺麗なグラデーションの背景とボタン。
- HPバーの色が残量に応じて変化する(緑→黄→赤)など、細かい配慮がある。
- 攻撃時に画面が一瞬光る(
brightnessフィルター)演出あり。
判定: 派手さはありませんが、基本に忠実。教科書的な正解コードです。
Grok Code:機能特化のエンジニア気質

Grok Code は、装飾を極限まで削ぎ落とした「ワイヤーフレーム」のような出力でした。
- 特徴:
- 白背景にシンプルな四角い枠。
- 機能要件は全て満たしている(HPバー、ログ、コマンド)。
- コードは非常に短くシンプル。
判定: デザインよりも「ロジックの実装」を最優先した結果と言えます。プロトタイプ作成には向いています。
【総評】最強のAIプログラマーは誰だ?
5つのモデルを比較した結果、それぞれの「得意分野」が明確になりました。
| AIモデル | 評価ランク | 特徴 | おすすめ用途 |
| Gemini 3 Pro | 🏆 総合優勝 | アニメーション演出・CSS描画が秀逸 | ゲーム開発、リッチな演出が必要な案件 |
| GPT-5.1 Codex | 🎨 デザイン賞 | モダンで美しいUI、堅牢なコード設計 | Webアプリ開発、UIデザイン |
| Sonnet 4.5 | 💡 アイデア賞 | 絵文字活用など、機転の利いた実装 | 企画段階、制約のある開発 |
| Composer1 | 🛡️ 安定賞 | バグがなく手堅い実装 | 初学者の学習用コード |
| Grok Code | ⚙️ 機能賞 | 必要最低限の機能を最短で実装 | アルゴリズム確認、プロトタイプ |
結論
「遊んで楽しいゲーム」を作りたいなら Gemini 3 Pro、「美しいWebサイト」を作りたいなら GPT-5.1 Codex という使い分けができそうです。
今回の検証で、生成AIは単にコードを書くだけでなく、「演出」や「ユーザー体験」まで考慮して実装できる段階に来ていることがわかりました。これからの開発現場では、AIごとの「個性」を理解してディレクションする能力が問われそうです。
