GISデータの加工や変換でよく使用されるGDALツールセットを使えば、画像ファイル(JPEGやPNG)と対応するワールドファイルをもとに、簡単にGeoTIFFを作成することができます。本記事ではその手順を詳しく解説します。
GeoTIFFとは?
GeoTIFFは、地理情報を埋め込んだTIFF画像フォーマットです。緯度経度や投影法などの地図情報を含むため、GISソフトウェアで直接利用することができます。
一方、JPEGやPNGなどの通常の画像ファイルには地理情報が含まれていません。そのため、ワールドファイル(.wld
, .jgw
, .pgw
など)を使って位置情報を追加し、GeoTIFFを作成する必要があります。
必要なもの
1.入力画像
JPEGまたはPNG形式の画像ファイル
2.ワールドファイル
拡張子が.wld
, .jgw
, .pgw
などのファイルで、画像の地理位置情報を保持
3.座標参照系(SRS)
画像が基づく座標系(例: WGS84のEPSG:4326やWeb MercatorのEPSG:3857など)
4.GDAL
GDALがインストールされている必要があります。
GDALのインストール方法については、公式ドキュメントをご確認ください。
手順: GeoTIFFの作成
GDALのgdal_translate
コマンドを使って、画像とワールドファイルからGeoTIFFを作成します。
コマンド構文
以下が基本的なコマンド構文です:
gdal_translate -of GTiff -a_srs <座標参照系> <入力画像> <出力GeoTIFF>
-of GTiff
: 出力形式をGeoTIFFに指定-a_srs <座標参照系>
: 使用する座標参照系を指定(例: EPSG:4326)<入力画像>
: JPEGまたはPNGファイル<出力GeoTIFF>
: 作成するGeoTIFFファイル名
具体例 1: JPEG + ワールドファイルをGeoTIFFに変換
画像ファイル example.jpg
と対応するワールドファイル example.jgw
を使用してGeoTIFFを作成します。座標参照系はWGS84(EPSG:4326)です。
gdal_translate -of GTiff -a_srs EPSG:4326 example.jpg example_geotiff.tif
具体例 2: PNG + ワールドファイルをGeoTIFFに変換
画像ファイル map.png
とワールドファイル map.pgw
を使用し、座標参照系をWeb Mercator(EPSG:3857)に指定してGeoTIFFを作成します。
gdal_translate -of GTiff -a_srs EPSG:3857 map.png map_geotiff.tif
ワールドファイルの役割
ワールドファイルは画像ファイルと同じディレクトリに配置され、以下の情報を含みます:
- ピクセルサイズ(X方向とY方向)
- 回転角度
- 左上隅の座標(X座標とY座標)
正確なワールドファイルが存在しないと、生成されるGeoTIFFの位置情報が誤ってしまうため、ワールドファイルの正確性を確認することが重要です。
注意事項
1.座標参照系の指定が必須
ワールドファイルには座標参照系(SRS)が含まれていないため、-a_srs
オプションを使って正しいSRSを明示的に指定する必要があります。
2.入力ファイルとワールドファイルの対応
画像ファイル(例: example.jpg
)とワールドファイル(例: example.jgw
)が正しく対応していることを確認してください。
3.GDALのバージョン
使用しているGDALのバージョンが最新であることを推奨します。バージョンによって一部の機能が異なる場合があります。
まとめ
GDALのgdal_translate
を使えば、簡単にJPEGやPNGとワールドファイルからGeoTIFFを作成することができます。以下が基本的なステップです:
- 画像ファイルとワールドファイルを用意
- 座標参照系を確認
gdal_translate
コマンドを実行
これにより、地理情報を持つGeoTIFFファイルを作成でき、GISソフトウェアで利用可能になります。